世田谷・若林
面取り美容室(椅子二つ・指名なし・切るだけ)美容室 面取り渡せるのは、角度だけです。
角度は、切っているあいだだけ存在します。お帰りになる前に消えて、残るのは結果だけです。あなたはこの数を持って帰れません ── だから当店が紙に書いて、店に置いておきます。
図:0度から105度までの扇。太い一本が屋号の45度です。CSSで描いています。
この店には写真が一枚もありません。店内の写真も、仕上がりの写真も、二人の顔写真もありません。
断る理由は、写真がよく写らないからではありません。写真はよく写ります。完璧に写っていても、そこから角度は出てきません ── 写っているのは結果で、結果は手順ではないからです。同じ一枚を二人に見せれば、二人は別の角度で切ります。
それに、その髪がどの頭に生えていたのかは、写真には写りません。頭の形と髪の太さが違えば、同じ角度でも別のものになります。
01Angle
面取り
この店が数えているのは、髪を持ち上げる角度です。前回の角度と今回の角度を選ぶと、帳面に書く一行を返します。その一行だけが、二人のあいだを渡ります。
この下に装置が二つあります。片方は帳面に書く一行を返し、もう片方は、その一行に載らなかったものを返します。二つとも要ります。片方だけでは切れません。
髪をどこまで持ち上げて切るか。
前回の角度と今回の角度を選ぶと、帳面に書く一行を返します。
前回の角度
今回の角度
四十五度は当店の標準で、いちばん良い角度という意味ではありません。標準というのは、そこから何度振ったかを書けるようにするための起点です。
角度の計算も日付も、お使いの端末の中で行っています。選んだ角度も、出た一行も、どこにも送っていません。
45度 ── 面を取る
前回の角度がありません。今日が、角度を決める日です。
帳面に書く一行
45度/前回なし(決めた日)/(切った日)
この一行があれば、二人のどちらが担当でも同じに切ります。書いてある のはこれだけです。
- 重さの残る位置
- 中ほど
- 乾かす手間
- ふつう
- 伸びたとき、先に動くところ
- 角が丸くなる方向に崩れます。輪郭はいちばん保ちます
切り口の角が落ちて、面ができます。屋号はこの角度のことで、当店の標準です。上にも下にも、ここから振ります。
何日もつかは、この装置は返しません。当店はその数を数えていません。 言えるのは、前回と同じ角度で切れば前回と同じように崩れる、という ことだけです。
02Degrees
角度
七つあります。順位ではありません ── 重さを残す側と、軽くする側が、同じ一本の軸の上に並んでいるだけです。屋号の四十五度は当店の標準で、いちばん良い角度という意味ではありません。
0度
持ち上げない
床と平行に持ったまま切ります。段は入りません。切り口が一枚に揃うので、重さは毛先に全部残ります。
- 重さ
- 毛先に全部
- 乾かす手間
- いちばん長い
- 伸びたとき先に動くところ
- 毛先の重さが下りて、輪郭が横へ広がります
30度
わずかに起こす
外から見た輪郭は変えずに、内側の量だけ減らせる角度です。伸ばしかけの方に、この角度で形だけ取ります。
- 重さ
- 毛先とその少し上
- 乾かす手間
- 長い
- 伸びたとき先に動くところ
- 内側から先に軽くなり、表面はしばらく変わりません
45度
面を取る
切り口の角が落ちて、面ができます。屋号はこの角度のことで、当店の標準です。上にも下にも、ここから振ります。
- 重さ
- 中ほど
- 乾かす手間
- ふつう
- 伸びたとき先に動くところ
- 角が丸くなる方向に崩れます。輪郭はいちばん保ちます
60度
段が見える
段がはっきり見える角度です。乾かす時間がいちばん短くなる帯の入口で、量を落とさなくても軽くなります。
- 重さ
- やや上
- 乾かす手間
- 短い
- 伸びたとき先に動くところ
- 段の切れ目が見えはじめ、乾かす向きに素直でなくなります
75度
表面が動く
レイヤーです。重さは上へ逃げ、表面が動きます。軽さを角度だけで作れる上限が、このあたりです。
- 重さ
- 上へ
- 乾かす手間
- いちばん短い
- 伸びたとき先に動くところ
- 表面の毛が先に伸びて、動きが重なって見えます
90度
水平まで
床と水平まで持ち上げます。頭の丸みに沿う限界で、これ以上は頭の外側を切ることになります。
- 重さ
- ほとんど残らない
- 乾かす手間
- いちばん短い
- 伸びたとき先に動くところ
- 全体が同時に伸びるので、崩れかたが読みにくくなります
105度
前へ引く
水平より前へ引いて切ります(オーバーダイレクション)。左右の差を作るときと、片側だけ重くしたいときにだけ使います。
- 重さ
- 引いた側だけ薄く
- 乾かす手間
- 部分によって違う
- 伸びたとき先に動くところ
- 引いた側だけ先に軽くなります
角度は、切っているあいだだけ存在します。長さや量とちがって、切り終わった 髪を見ても何度で切ったのかは出てきません。だから当店は紙に書いて、店に 置いておきます。一度に 30 度より大きく振らないのも、同じところから来ています ── 大きく振ると、 どちらの角度で崩れているのか分からなくなるからです。
なお、何日もつかは書いていません。当店はその数を数えていません。言えるのは、 前回と同じ角度で切れば前回と同じように崩れる、ということだけです。
03Translate
言い換え
椅子でよく言われる言葉を、角度に直します。直しきれない部分が必ず残るので、それも一緒に返します。返すのは角度ではなく、二つの列です。
椅子でよく言われる言葉です。
一つ選ぶと、角度に直せた部分と、直せなかった部分に分けて返します。
この装置は、おすすめの角度を一つ返しません。返すのは、あなたの言葉のうち数に直せた部分と、直しきれなかった部分の二つです。
左から一つ選んでください。
返すのは角度ではなく、二つの列です ── 帳面に書ける部分と、書けない 部分。
左は帳面に書ける部分、右は書けない部分です。右が悪いわけではありません。切るときにはどちらも要ります。ただ、右は次の人へ渡らないので、毎回その場で確かめ直します。
04Card
帳面
この店の道具は鋏と、紙のカードです。カードに書くのは四つだけで、書かないものは、書けないものです。
書くもの(四つだけ)
- 角度(例:45度)
- 前回からの差(例:+15度)
- 顔まわりを別に取ったときは、その角度
- 日付
書かないもの(書けないもの)
- 「軽め」「重め」「いい感じ」
- 「まとまるように」
- 「似合っていた」
- 仕上がりの写真
書いてあるぶんは、二人のどちらでも同じに切れます。書けないぶんは、毎回その場で確かめ直します。帳面は管理のためではなく、受け渡しのためにあります。
帳面は紙のカードです。店から出しません。電子化していないのは用心のためではなく、この店の数が店の中にしか無いものだからです。お見せしますし、書き写して持ち帰っていただけます。捨ててほしいと言われれば捨てます。
05Two
二人であること
美容師が二人いる店には、一人の店には無い義務があります。人数で決まる義務で、掛かる先は切る人ではなく店です。
美容師である従業者が常時二人以上の美容所では、開設者はそのうち一人を管理美容師にしなければなりません(美容師法第12条の3)。要件は、免許を得たあと三年以上その業務に従事していることと、都道府県知事が指定する講習会を修了していることです。
この義務は、切る人ではなく開設者 ── つまり店に掛かります。美容師免許そのものは人に付いて動き、美容所のほうは届け出るだけの場所ですが、その場所に二人目が入った日に、店の側にはじめて一つの義務が生まれます。当店はそれを園田が持っています。
美容師が一人の店には、この義務はありません。二人以上の美容所にだけ掛かる規定です。数えているのは人数で、腕でも面積でも売上でもありません。
講習会で扱うのは、衛生管理です。器具の消毒、皮膚や感染の話、施設の管理 ── 二人以上が同じ部屋で同じ道具を使う店で、誰が責任を持つのかを決めておくための制度です。
「管理美容師がいます」と書くと、上手そうに聞こえます。けれども、あの講習は衛生管理の話で、切る腕については何も言っていません。当店がこれを書くのは、二人になった店には書くべきことがあるからで、腕の証明として書いているのではありません。
法律が二人目から数えはじめるのなら、店のほうも二人目が何のためにいるのかを言えなければなりません。当店の答えは「選べるようにするため」ではなく、「渡せるようにするため」です。だから指名がありません。
なお、髪が生える、傷んだ髪が元に戻る、小顔になる ── この種の言葉は美容室の広告では使えません。当店も言いません。言わないことを、わざわざこのページの段にはしていません。
医療機関に掛かる医療広告ガイドラインは、この店には及びません。及ばないから何を書いてもよい、という話にはしていません。
06Fees
料金
税込みです。指名料もシャンプー代もブロー代もありません ── 指名そのものが無いので、指名料は取りようがありません。
- カット(同じ角度)60分
- 洗って、帳面の通りに切って、乾かすまで。担当は当日の時間で決まります。
決める時間が要らないぶん、短くなります - ¥5,940
- カット(角度を変える日)90分
- いまの切り口を見て、どこまで振るかを決めます。帳面の書き直しを含みます。
初めての方は必ずこちらです(角度がまだ無いので) - ¥7,700
- 前髪だけ15分
- 顔まわりだけ、帳面の角度で整えます。全体は触りません。
- ¥1,320
- すべて税込みです。現金、クレジットカード、QRコード決済が使えます。
- 安いほうは割り引きではありません。角度が決まっている日は、決める時間が要らないので短いのです ── 時間から出ている値段です。
- 指名料、シャンプー代、ブロー代といった追加はありません。上の金額がそのままです。
- 一日十二人までしか取れないので、来られないと分かった時点でご連絡いただけると助かります。当日のキャンセル料は頂戴していません。
07Cannot
できないこと
やらないことではなく、できないことです。一つめは免許の話ではありません ── 免許は持っているのに、この施設ではできない、という話です。
- 01
顔そり。当店の一人(芦沢)は理容師免許も持っています。それでもできません ── この施設は美容所として届け出てあり、理容の業は理容所でなければ行えないからです。免許は人に付いていても、どちらの商売をしてよいかは、届け出た施設のほうで決まります。剃刀を顔に当てていただきたい方は、理容室へどうぞ。
- 02
カラー、パーマ、縮毛矯正。薬剤を置いていません。免許が足りないのではなく、棚に無いということです。切るだけの店です。
- 03
一つの頭に二人。角度を決めるのは一人です。横からもう一人が手を入れると、帳面に書けない部分が増えます。
- 04
指名。取り扱っていません。どちらが担当するかは、その日の時間で決まります。指名料が無いのではなく、指名そのものがありません。
- 05
「前回と同じで」だけで切ること(初めての方と、他店で切った髪)。角度は当店の帳面にしか書かれていないので、一回目は必ず角度を決めるところから始めます。他店で切った髪も切りますが、「同じ」は約束できません。
- 06
一度に30度より大きく角度を変えること。二回に分けます。前の切り口がまだ残っているうちに大きく振ると、どちらの角度で崩れているのか分からなくなります。
- 07
「写真の通りにします」。お持ちいただくのは歓迎で、必ず見ます。そのうえで角度の話をやり直します ── 写真からは角度が出てこないからです。
美容師免許は、店ではなく人に与えられる国家資格です。美容所のほうは届出で、 許可ではありません。それでも美容師は美容所以外の場所で美容の業をしては いけませんし、理容師法にも同じ形の規定があります ── つまり免許は人に付いて動き、業は施設から出られません。だから当店の一つめは、 店の方針ではなく、届け出た施設がどちらなのかという話です。
08No photographs
写真
この店には写真が一枚もありません。店内も、仕上がりも、二人の顔も。断る理由は、写真がよく写らないからではありません。
写真は、この商売の受け渡しの道具になっています。切り抜きを持って来る、見せる、「これでお願いします」。それで伝わったことにするのが、ふつうの手順です。
断る理由は、写真がよく写らないからではありません。写真はよく写ります。完璧に写っていても、そこから角度は出てきません ── 写っているのは結果で、結果は手順ではないからです。同じ一枚を二人に見せれば、二人は別の角度で切ります。
それに、その髪がどの頭に生えていたのかは、写真には写りません。頭の形と髪の太さが違えば、同じ角度でも別のものになります。
ですから、お持ちいただいた写真は必ず見ます。見たあとに、角度の話をやり直します。見ないで切るより、見てからやり直すほうが早いからです。
当店の写真を出さないのも、同じ一つの理由です。出しておいて「写真は運びません」とは言えません。
断り続けるもの
- 仕上がりの写真。あなたの髪であって、店の作品ではありません。そして上の理由がそのまま掛かります。
- 店内の写真。借り物も含めて置きません ── 借りると、断ったばかりの道具で店を説明することになります。
- 二人の顔写真。実在する人の顔を実在しない経歴に貼れないこと、そして二枚並べると読んでいる方が選びはじめること。
- 施術前後を並べた写真。法律は禁じていません(医療広告ガイドラインは医療機関のもので、この店には及びません)。それでも載せません ── 二枚のあいだにあるのは角度で、角度は写真に写らないからです。
09Who
店
椅子は二つ、美容師は二人、一日十二人まで。どちらが担当するかは、その日の時間で決まります。
園田 朔
美容師・管理美容師
美容師免許(2012年)/管理美容師 講習修了(2019年)
下北沢と三軒茶屋の店で十一年。二〇二四年からここです。管理美容師は当店では園田が持っていますが、これは衛生管理の責任者という意味で、腕の順位ではありません。
芦沢 千種
美容師
理容師免許(2014年)/美容師免許(2018年)
理容室から入って、あとから美容師免許を取りました。両方持っていますが、この施設は美容所として届け出てあるので、ここでするのは美容の業だけです ── 顔そりはできません。
どちらが担当するかは、その日の時間で決まります。二人の手はもちろん別のものですが、帳面に書いてある部分については同じに切ります。書いていない部分は、その場で確かめ直します ── どちらが担当でも、そこは毎回やり直しです。
顔写真は載せていません。実在する人の顔を、実在しない美容師の経歴に貼ることはできないからです。加えてこの店では、顔写真は二枚になります。二枚並べれば、読んでいる方は選びはじめます。当店は指名を扱っていません。
- 月
- 10:00 – 19:00
- 芦沢
- 火
- 休み
- —
- 水
- 10:00 – 19:00
- 二人
- 木
- 10:00 – 19:00
- 園田
- 金
- 10:00 – 19:00
- 芦沢
- 土
- 10:00 – 19:00
- 二人
- 日
- 10:00 – 17:00
- 二人
完全予約制、一日十二人までです。上の欄はその日に誰がいるかで、選んでいただくためではありません ── 一人の日でも、帳面の角度で同じに切ります。
- 一日十二人までです。二人で六人ずつ、というだけの数字です。
- 予約の時間に遅れても、その分だけ後ろへずらします。切る時間は削りません。
- 初めての方は角度を決める日になるので、90分でお取りします。二回目からは60分です。
- 一度に30度より大きくは変えません。二回に分けます。
- 髪の写真は撮りません。撮ってほしいと言われても撮りません(できないことの七つめと、写真の段)。
- 帳面はお見せします。書き写して持ち帰っていただけます。捨ててほしいと言われれば捨てます。
美容師免許(従業者二名・国家資格)/美容所 開設届出済(世田谷保健所)/管理美容師 設置(美容師法第12条の3)
10Asked
よくある相談
この店には「お客様の声」がありません。禁じられているからでもなく、聞く日が悪いからでもなく、声がこのページの右の列 ── 帳面に書けない側にあるからです。
- 「お客様の声」が無いのはなぜですか。
- 「よかった」「軽くなった」「まとまる」── どれもこのページが右の列、つまり帳面に書けない側に置いた言葉です。それを看板に並べると、当店が自分で立てた規則を自分で破ることになります。それに、声はたいてい担当者を褒めます。当店は担当を決めていないので、褒められた手がどちらなのか、店にも分かりません。
- 何日もちますか。
- その数を当店は持っていません。伸びる速さは人によって違いますし、二人で切っていて指名もないので、平均を出しても誰の数でもなくなります。当店が言えるのは、前回と同じ角度で切れば前回と同じように崩れる、ということだけです。同じ、とだけ申し上げています。
- 指名できないと、当たり外れがありませんか。
- 帳面に書いてある部分には、ありません。角度と前回からの差は数なので、二人のどちらでも同じに切ります。書いていない部分 ── その日の長さの加減や、顔まわりの当て方は、どちらが担当でも毎回その場で確かめ直します。前の担当がうまくやったから今日も大丈夫、という引き継ぎはしていません。
- 帳面には何が書いてありますか。見られますか。
- 角度、前回からの差、顔まわりを別に取ったときはその角度、日付。この四つだけです。紙のカードで、店から出しません。お見せしますし、書き写して持ち帰っていただけます。捨ててほしいと言われれば捨てます。
- 写真を持って行ってもいいですか。
- ぜひお持ちください。必ず見ます。そのうえで角度の話をやり直します ── 写真には結果が写っていて、角度は写っていないからです。同じ写真でも、頭の形と髪の太さで別のものになります。「この通りにします」とは申し上げられません。
- 一人しかいない日に行っても大丈夫ですか。
- 大丈夫です。一人の日でも、帳面の角度で同じに切ります。営業の欄に誰がいるかを出しているのは、選んでいただくためではなく、一人の日があることを隠さないためです。
- 染めたいのですが。
- できません。薬剤を置いていないので、カラーもパーマも縮毛矯正もやりません。染めている方の髪を切るのは、もちろん承ります。よその店で染めていらしても構いません。
- 似合う髪型を決めてもらえますか。
- ご相談には乗りますが、その一言だけでは切れません。似合うかどうかは、顔と、着るものと、お仕事と、見る方の目の話で、当店の帳面には一文字も書けない部分です。ですから、そこから先は訊きます。訊かずに切ると、その日はうまくいっても、次に切る者へ何も渡りません。
11Booking
予約
電話かウェブのどちらでも。担当はこちらで決めます。二回目からは、前回の角度をこちらで見てからお話しします。初めての方は、角度を決める日(90分)でお取りします。
東京都世田谷区若林3-18-6 1F/東急世田谷線 松陰神社前駅 徒歩3分
屋号の面取りは、角を落とすことです。指物でも大根でも、四十五度に削るあれを面取りと言います。当店の標準もそこで、上にも下にも振ります。面は切り口の面のことで、顔のことではありません。